記録44号
「記録」44号出来上がりました。コロナ・ウイルスの影響もあり、少々遅くなってしまいました。
外出禁止令が出て、2日ほどは自室でウロウロしていましたが、テレ・ワークなどという言葉が出始めて、そういうことならば、こちらの仕事はフット・ワークだよな、というわけで連日嫌いなマスクをしてバスに乗り電車に乗って、中野を始め中央線沿線の各駅をカメラを手にうろつき歩いていました。街々はさすがに人気が薄かったし、店々もシャッターが大半閉まって、一見映画のオープン・セットを見る思いでしたが、これはこれで良しとパチクリパチクリと写し廻ったわけです。そしてつらつら思ったことは、何か大事が起きると、世の中手のひらを返すごとく別の景色になってしまうわけね、と実感をするというか改めて肝に銘じた次第でした。日頃、都会の雑踏にまぎれ込んでチャカチャカ写し廻っていたぼくとしては、どこか釈然としない気妙さも一瞬ありましたが、すぐにいやこれはこれでよし、いまこれも写しておかねばダメだろうなどとカメラマン根性というか、ぼくの方も心の手のひらを返したわけです。つまり日常性からふと異常性が垣間見えたように感応できたということでしょうか。これら写したイメージが、いつどういう形でお見せできるものかどうかが分かりませんが、「記録」誌本号の写真は、コロナ騒動直前までに写されたイメージでまとめたものです。
― 森山大道(本書あとがきより)
- 判型
- 280 × 210 mm
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2020
- 言語
- 英語、日本語