記録55号
8月の末になっても、まだ連日暑い。
そしてぼくは、小さなカメラを手に毎日スナップ撮りに出掛けている。せいぜい3〜4時間ばかりのことであるが、この日課が了らないと、なんとなく気が済まないのだ。ま、カメラマンであれば当然のことだ。
そして、週一のペースで代々木の仕事場に出掛けてあれこれの用を足すこと以外は、横須賀線か近場のバスに乗って下り、あとはノタノタと歩き廻って人群れの間に紛れて写すばかりである。日によって、60〜70カット撮ることもあれば、せいぜい20カット程度のときもある。でも、それはそれでぼくの気が済めばよいわけだ。とは言うものの、ぼくのなかから、徐々に新宿の路上風景が遠のきつつあるかのような思いがしないでもない。まずいぜオレということだ。ほら、隣町には横須賀も鎌倉も戸塚もあるじゃない、そこ結構人居るぜ、とは思うものの、結局ぼくとしては“あの新宿”へ行きたいわけだ。そう、他にも週一くらいは、新宿の歌舞伎町の路上にカメラを手に立っていたいのだ。ということであれば話は簡単で、つまりぼくがさっさと行けば済む話である。
もう少し秋になって、多少涼しくなる頃合いに、ぼくは思うさま新宿の振わいに向けてカメラを構えていたいわけだ。そして久方ぶりに「記録」誌新宿号をまた作ってみたい。
どうでしょう、長澤さん、それいいっすか?
― 森山大道
- 判型
- 280 × 210 mm
- 頁数
- 132頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2023
- 言語
- 英語、日本語