中平卓馬 火―氾濫
本書は、2024年に東京国立近代美術館で開催された中平卓馬(1938-2015)の没後初めてとなる本格的な回顧展「中平卓馬 火―氾濫」の図録。展示内容をもとに「来たるべき言葉のために」「風景・都市・サーキュレーション」「植物図鑑・氾濫」「島々・街路」「写真原点」の5章が収録されている。豊富な図版により、高い資料性も備えた一冊となっている。
日本の戦後写真における転換期となった1960年代末から70年代半ばにかけて、実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家である中平卓馬(1938-2015)。その存在は森山大道や篠山紀信ら同時代の写真家を大いに刺激し、またホンマタカシら後続の世代にも多大な影響を与えてきました。1960年代末『PROVOKE』誌などに発表した「アレ・ブレ・ボケ」の強烈なイメージや、1973年の評論集『なぜ、植物図鑑か』での自己批判と方向転換の宣言、そして1977年の昏倒・記憶喪失とそこからの再起など、中平のキャリアは劇的なエピソードによって彩られています。しかしそれらは中平の存在感を際立たせる一方で、中平像を固定し、その仕事の詳細を見えにくくするものでもありました。
本展では、あらためて中平の仕事をていねいにたどり、その展開を再検証するとともに、特に、1975年頃から試みられ、1977年に病で中断を余儀なくされることとなった模索の時期の仕事に焦点を当て、再起後の仕事の位置づけについてもあらためて検討します。― 同名展覧会説明文より抜粋
- 判型
- 257 × 211 mm
- 頁数
- 496頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2024
- 言語
- 英語、日本語