切真
「切真」では、撮影したポジフィルムを真っ二つに切り離し、組み合わせを変えて新たにつなぎ合わせたポジフィルムから写真作品をプリントしている。昨年末に右眼の視力を失ってから撮影された、日常生活や街の風景、女性のヌード、花や人形のイメージを組み合わせた写真には、荒木の現在の心境が映し出されているとともに、「切る」行為によって生み出された新しい発見や物語が満ち溢れている。
ポラロイドを二つに切って新たにつなぎ合わせた作品「愛切(あいせつ)」や、ポジフィルムの右側を黒マジックで塗りつぶした作品「左眼ノ恋(さがんのこい)」に続く「切真」では、荒木の遊び心やユーモアとともに、自らの手による「破壊」と「再生」によって独自の生死観が表現されている。「写真というのは生きること」と話す荒木の新作は、思いもよらないイメージの組み合わせによって、新たなリアリズムとの出会いを見る者にもたらす。
- 判型
- 175 x 230 mm
- 頁数
- 76頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2014
- エディション
- 500