東京景
東京は私が生まれ育った街である。戦後の混乱期から高度成長期を終え…故郷は変貌の歩みを止めようとしない。
『東京景』は1970年から1980年代の東京の街や人のスナップである。あらためて見てみると、私の眼は去りゆくであろう東京の風景を無意識にとらえていたようだ。そして、東京で生涯をすごす人、夢を抱いて地方から大都市に移り幸福をつかんだ人、失意にふさぐ人、ありとあらゆる人間が都市を創造しているのだと気づく。幼年時代の風景は面影もない。それでも、下町の祭りの頃の華やぎや、行き交う人の何気ないしぐさに懐かしい安堵感をおぼえることがある。私の故郷の姿は、もはや人々の日常の光景にあるのではないのかと思う。この作品はある時代の日本の記録であるとともに、心にとどめて置きたい私個人の故郷の景色である。」― 須田一政
須田一政が1970年代から80年代にかけて撮影した東京の街。先日、東京都写真美術館に行われた回顧展で「東京景」全253点のうち100点が展示され、本書は未発表の106枚の写真を再構成し1冊の写真集に纏め上げたもの。アメリカの出版社、Nazraeli Pressが共同作業として関わっており、黒を基調とした重厚なデザインは時代の流れに絶え得るものに仕上がっている。須田によるサインが施されているが、その場所は買ったものだけが気付く事のできる意外な箇所に記されている。
- 判型
- 337 x 250 mm
- 頁数
- 116頁、掲載作品106点
- 製本
- ハードカバー、ケース
- 発行年
- 2013
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 500
- ISBN
- 978-4-905453-30-7