死生 / Leben und Tod
本書は、荒木経惟とユルゲン・テラーのコラボレーションによる最新作となり、東京のartspace AMで2019年に開催された荒木とテラーの二人展「ARAKI TELLER 死生」の集大成でもある。ブックデザインはテラーが手掛けている。
荒木経惟とテラーの出会いは、個展のためにテラーが来日した1991年の東京である。その頃のテラーは、今よりほんの少し痩せていて、今と変わらず鋭利な感受性を全身から漂わせていた。友人に連れられ、荒木の野外展を訪れたテラーは作品から衝撃を受け、その夜新宿での宴に招かれて荒木の人間性に魅せられた。
2005年、バービカン・センターの個展に際し荒木がロンドンを訪れた時には、テラーがウェルカムパーティを催している。さらに10年を経た2014年、ウィーン・ウェストリヒトギャラリーで、荒木とテラーの二人展「ARAKI TELLER TELLER ARAKI」が開かれた。
同名の写真集に、テラーはこのように書いている。「荒木さんの写真は心底正直で、美しい。僕は、彼の写真のロマンティシズムと、哀しみと、命のエネルギーに強く惹かれる」。
荒木はこう述べた。「ヨーガン・テラーの写真は”いとをかし”。念の為言っておくと、これは褒め言葉なのだ」。そして、「(二人の写真群には)”現在”が溢れている。写真とは眼の前のその時のこと。だからここで提示されているのは”写真”そのものだ」。中でも、荒木のお気に入りのテラーの写真は、テラーが母とともに故郷・ドイツの森を散策しているカラー写真のシリーズだった。
2019年11月11日にスタートする二回めの二人展で、テラーは新作シリーズ『Leben und Tod (生と死)』を出品する。伴侶を亡くしてからスポーツジムに通い始めた76歳の母の姿、死についての思索を巡らせたブータンでの旅の途上のセルフ・ポートレートが含まれる。
荒木は、テラーと母の思い出の品々である、様々なオブジェや祖母から母へと伝えられた陶製の人形、テラー家が営んでいた工場で森の樹木から製造したバイオリンのブリッジなどを、花と自身の人形やフィギュア達に溶け込ませて撮り下ろし、テラーの母に捧げている。
-artspace AMより
- 判型
- 190 × 260 mm
- 頁数
- 72頁、掲載作品67点
- 製本
- ソフトカバー、ケース
- 発行年
- 2020
- 言語
- 英語
- ISBN
- 978-3-95829-745-6