センチメンタルな空
1990年に愛妻陽子が亡くなって以降、空の写真を撮影することが日課となった荒木にとって、空とは自分の心を映す鏡でもある。空の表情の変化は、淡々と過ぎてゆく日常、そして人生の似姿でもある、私的なものだ、と荒木は話す。荒木にとって写真そのものが私小説であるように、空の写真は他の誰のものでもない「自分の空」、つまり「私空(しくう)」なのだ。
これまでも数々の作品に登場し、荒木にとって特別な場所であったバルコニーのある自宅を、昨年去ることになった。陽子との最後の日々を記録した写真集『センチメンタルな旅 冬の旅』(1991年)、そしてチロとの別れを綴った写真集『センチメンタルな旅 春の旅』(2010年)に続いて、『センチメンタルな空』でもまた、ひとつの愛の物語の幕が描かれている。
- 判型
- 220 x 248 mm
- 頁数
- 160頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2012