かんながら
そこに在るというだけの遥かなもの。
あるがままというなだらかな視点。
以前のような撮影が不可能になったからといって、写真を止める言い訳にはならない。
これからは車の助手席が私の立ち位置と定め、過ぎ行く風景にカメラを向ける―それが私のスタイルだと考えれば問題ない。
2016年2月1日、私はカメラを手に妻の運転する車に乗った。
前年の3月末に病におそわれて以来の撮影再開である。
外房の自然風景の中を日々走るうち、山や木、生えている草、道に転がる石、すべてのものに気が満ち満ちているように感じられてきた。
―この気は神の気だな。自然もそこに暮らす人たちにも、すべてに神の気配があるな―
「かんながら」とは神の御心のままであることを言うらしい。随神・惟神と書く。
「かんながら」という言葉と、「気」としか表現できない何かしらの感覚が私の中で不思議に共鳴した。
― 須田一政
- 判型
- 204 × 300 mm
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2017
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 978-4-905360-17-9