shashasha 写々者

ヴォルフガング・ティルマンスは、先見性のある創造者であり、大胆な博識家でもある。彼の作品は単一の芸術分野の枠を越えているが、最もよく知られているのは、幅広い写真作品である。社会運動の痛烈な記録から窓辺の静物画、繊細なポートレートから建築研究、ナイトライフの恍惚としたイメージからカメラなしの抽象画、天体観測から親密なヌードまで、考えられる限りあらゆるジャンルの写真を探求し、新しい写真の作り方と見る人の経験を深める方法を常に試してきた。

本書は、ニューヨーク近代美術館で開催中（2022年9月12日〜2022年12月31日）のティルマンスの大規模な同名展覧会に合わせて出版されたもので、ティルマンスの40年にわたるキャリアを豊富な図版で紹介している。また、ティルマンス自身による新たなテキストでは、彼の写真表現における独特な方法論が明らかにされている。写真の展示方法を変えただけでなく、現代アートをダイナミックに新しい方向へ導いたアーティストの作品に、読者は新たな洞察を得ることができるだろう。