FRONT Ⅲ 華北建設号・フィリピン号・インド号・戦時東京号
伝説のプロパガンダ・グラフ誌、再復刻完結!
戦争の負の遺産ながら、日本デザイン史に大きな影響を与えた強烈なグラフィズムが「保存版」として蘇る。
第2次世界大戦中、日本の国威や軍事力を友好国・占領地域・中立国・敵対国などにPRすることを目的として、日本政府と陸海空軍の全面協力のもと、軍部直属の出版社 「東方社」からプロパガンダ・グラフ誌『FRONT』が刊行されました。原弘や木村伊兵衛など、写真、グラフィックデザイン、印刷、造本などにおいて、当時最高峰の技術をもつ人材が集結し、1942年から1945年までの4年間、計10冊が制作されています。
1989年8月、東方社でグラフィックデザインを担当した多川精一氏(故人)の監修のもと、 創刊号「海軍号」(No.1‒2、1942年)、「満州国建設号」(No.5‒6、1943年)、「空軍(航空戦力)号」(No.8‒9、1943年)の3冊が[復刻版 第Ⅰ期]として平凡社から再刊されました。さらに1990年3月、[復刻版 第Ⅱ期]として「陸軍号」(No.3‒4、1942年)、「落下傘部隊号」(No.7、1943年)、「鉄(生産力)号」(No. 10‒11、1944年)の3冊が、1990年8月に[復刻版 第Ⅲ期]として「華北建設号」(No.12‒13、1944年)、「フィリピン号」(No.14、1944年)、「インド号」(特別号、1944年)、「戦時東京号」(特別号、1945年)の4冊が復刻。全10冊が再刊されました。
本書『復刻保存版FRONT Ⅲ』は平凡社が再刊した『FRONT』復刻版[第Ⅲ期](多川精一監修)を底本としています。
元の判型がA3サイズ だった「華北建設号」「フィリピン号」については、本書ではB4サイズに縮刷し、元の判型がB4サイズだった 「インド号」「戦時東京号」はオリジナルサイズで合本しました。また1990年復刻版の付録だった解説小冊子も、再刊に合わせ、新たに松田行正氏の解説をくわえて本書に合本収録しています。
縮刷合本に際しては、デジタルリマスター技術により1990年復刻版の印刷を再現しましたが、版面の制約により一部レイアウトに変更を加えています。複雑な折り込みをはじめとした特殊製本に関しても、底本を可能な限り忠実に再現しました。B4判252ページと大部ですが、グラフィック誌としての特徴を引き立たせるため、ソフトカバーPUR製本を採用しています。
戦時中のプロパガンダ媒体という性質上、今日ではふさわしくない描写もありますが、戦争の負の遺産を後世に伝える歴史資料としての価値に鑑み、そのまま掲載しました。
― 出版社説明文より
- 判型
- 368 × 264 mm
- 頁数
- 272頁
- 製本
- ソフトカバー、ケース
- 発行年
- 2024
- ISBN
- 978-4-582738-33-9