私の肖像
「私」とは誰か? 人間の存在と、内なる複雑さを問いかける肖像。
「私の肖像」は、普段、写真館を生業とする内倉が、そこで撮影する記念写真や証明写真とは別に、黒い背景の前で人々を撮影したシリーズです。
自然光のもとで、5分から10分の間に、500カットから1000カットの連写撮影を行い、そこから選び出された肖像には、無意識のうちにさらけ出された表情や原始的で微妙な身振りが刻まれています。それは、社会的な立場や規範から解き放たれ、ある存在として立つ舞台を想わせます。アイデンティティやジェンダーの複雑さがそれぞれの姿から浮かび上がり、それは個人の肖像であると同時に、私たちの精神的な肖像とも言えるでしょう。
撮影、そして写真を選び出す過程で、内倉の「私」と被写体の「私」とは向き合い、関わり合います。
一枚の写真に立ち現れる肖像はその内的なコミュニケーションの現れであり、「私」という存在が新たに生まれるようでもあります。
現代にあって他者との関わり合いを探り、普遍的な人間の存在を問いかける可能性を、「私の肖像」は独自に提示しているのです。
― 出版社説明文より
- 判型
- 257 × 210 mm
- 頁数
- 120頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2020
- 言語
- 英語、日本語、中国語
- ISBN
- 978-4-86541-123-2