Kakera
デコトラの撮影で注目を浴び、それをきっかけに2006年から縄文以来のシャーマニズムが息づく東北の風土やこの地に暮らす人々の生活や文化を撮り続けてきた田附勝は、「東北」や「魚人」など多くの作品を発表してきた。
本作「KAKERA」は、新潟県津南町を皮切りに各地の博物館の収蔵庫や発掘現場で保管されていた膨大な資料である縄文土器のかけらを、箱のなかで中敷きや梱包として使用されていた新聞と共に、保管状態そのままに撮影した作品となる。
縄文土器、発掘された当時の新聞、そして田附が撮影した時間。一枚の写真の中に何層もの時間があり、埋もれ、忘れられていたものたちと対面することとなる。「声なきもの」、「わからぬもの」との対話から、その歴史や手の痕跡、失われた時間までをも捉える、田附のこれまでの写真にも通底する視座を見てとることができる。
過去・現在・未来が積み重なる「KAKERA」の写真を通して、自分たち、そして自分たちを取り巻く社会を見つめることとなるだろう。
「平箱の中にあった時間の断片の層は、過去と現在と未来は一続きとさせず、歪み、ねじれ、絡み合っていると気付かせる。
私たちはそういった時間の層の中を踏みしめている。」
― 田附勝ステートメントより
- 判型
- 300 × 285 mm
- 頁数
- 102頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2020
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 978-4-909442-12-3