P.North
ニュージーランド出身で現在はオーストラリアを拠点とする写真家、キャサリン・マクールのデビュー写真集。『P.North』というタイトルは、純粋な意味での場所を指しているのではない。主に1980年代から1990年代にかけて、ニュージーランドとオーストラリアの田舎で撮影された一連の写真をもとにした本書は、数十年、場所、人々、そしてそれらをつなぐあまり実感のない力学の間を浮遊している。
店主、若者、教会に通う人々、幼い子供たち、そして動物たちが、何の変哲もない風景や、眠ったような小さな町の営みを背景に、これらの写真を彩っている。マクールの一風変わった写真の特徴は、この無形な雰囲気に拍車をかけている。焦点の移動、アナログの残骸、フレーム内への侵入(腕や影、風船など)は、優しさと不安の両方を呼び起こす。ほとんどすべてのキャラクターと構図が、二度見を誘う。一見穏やかなものが不穏なものへと歪み、邪悪なものが無邪気なものへと消えていく。
記憶、信仰、印象、出会いに対する彼女自身の疑問を熟考しながら、マクールは本物の威厳とユーモアをもって被写体を描いている。そして、『P.North』がその方向性を見出したのはここからである。マクールは、写真のやりとりのぎこちない激しさとつながりに、ある種の慰めを見出したと語っている。被写体と視線を合わせることで、彼らも私たちも皆そうであるように、欠点があり複雑であるが、彼女は自分自身を理解しようとする努力を明らかにしている。
― 出版社説明文より
- 判型
- 225 × 185 mm
- 頁数
- 96頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2023
- 言語
- 英語
- エディション
- 700
- ISBN
- 978-1-922545-14-5