From YOKOSUKA
かつてドブ板通りは基地の外に有るにもかかわらず横須賀でなくアメリカだった。Aサインバーとキャバレーは乱立し、ドル札での水商売は戦争と共に光輝く歓楽の通りだったのである。そのドブ板通りで私は写真を撮り、写真を現像し、写真を展示した。「From YOKOSUKA」によって過去のさまざまな思いを印画紙にすべてプリントしたのだった。
現在その現場のキャバレーは見事に消えてしまい私の写真の中に在る。「From YOKOSUKA」は嫌悪と憎悪の悪場所だった横須賀と正面きって向き合った展示である。横須賀に思いのこすことは何もない。固有名詞の横須賀は私から離れ遠くなる、出発点はその役割を果たして、歴史となった。現実の横須賀へもう行くことはないだろう。何かが終わったのだ。グッバイ横須賀、そしてありがとう横須賀。
― 石内都、「From YOKOSUKA」より抜粋
- 判型
- 280 x 216 mm
- 頁数
- 40頁、掲載作品25点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行日
- 2016
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 1000