As the Call, So the Echo
奥山由之の新作『As the Call, So the Echo』は、2年余りにわたり、ある村で暮らす友人の家族と、その周りの人々の日々の情景を撮りためたシリーズです。
当初は作品として発表する予定ではなく、目のまえの瞬間瞬間に反応し、受け入れ、シャッターを押したものでした。
それらは、奥山にとって、ある時から止まってしまった「写真の持つ気配」を、もう一度再生させるきっかけとなったのです。
具体と抽象を行き来し、豊かな色彩で、 人々がつくり出すものや、ひとつの命から始まる広がり、球体のような関係性を描き出す本書(4章構成)は、表現者としての奥山の新たな出発点になるとともに、写真の原点ともいえる力を湛えています。
『As the call, So the echo』(呼びかけたから、こだまが返ってきたんだ)── いつだったか、たまたま開いた本で、気になるその字面に目が留まったことからつけられた──というタイトルは、写真家と被写体、写真家と世界との間に交わされる、生命体としてのやりとりを想起させるものでもあります。
人と人とが交わす"何か"による交信を、時間を重層させながら映し出す本書もまた、「音にならない音」が聞こえる瞬間のように、読者に届くことを願っています。
― 出版社説明文より
- 判型
- 254 x 220 mm
- 頁数
- 168頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2017
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 978-4-86541-076-1