A Transparency Poem
見過ごされがちな周囲の些細なディテールに焦点を当てることが多い黄京は、世界を見る方法として写真を使うことに並々ならぬ決意を抱いている。彼の作品では、世界は純粋で詩的なものとなり、ダイヤモンドのように輝く錆、シダ、砂浜、クモが一緒に沈黙している。アメリカの小説家、ウィリアム・フォークナーが『響きと怒り』で馬鹿なベンジーの慟哭を「太古の昔から存在していたかもしれない慟哭が、惑星の連動によって一瞬だけ聞こえるようになった」と表現しているように、柔らかくサイケデリックな殻の下には、世界の生のエネルギーが迫ってくる。黄の新作は、これまでの彼の作品よりも純粋で幽玄であり、クラシックの香りが強く漂っている。作品は、同じシーンの連続したイメージでアレンジされており、読むと詩的なリズムと韻が生まれる。作品の霧のような雰囲気の下、大きなグレーの色調は毛焰(マオ・イェン)の油絵や詩を彷彿とさせるため、巻末には毛焰の「剩山图3」が収録され、作品集を締めくくっている。
― 李弋迪(Place M China 代表)
- 判型
- 310 × 220 mm
- 頁数
- 84頁、掲載作品128点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2023
- エディション
- 500