フロム スクラッチ
『フロム スクラッチ』が写すのは、都市の傷である。写真家は都市の細部を追い、ガラスや窓や車のボディや道路に、擦り傷や引っ搔き傷や人の跡や人の影を求める。この写真家にとって、都市とは傷であり、影であり、反映であり、痕跡である。都市はその影と、映像はその実体と、写真はオブジェと、相互に浸透し合い、一体化して、溶解している。写真は影になり、影が写真になる。都市の影を写し撮ったこの写真集は、写真という影を撮った写真集、写真の写真、影の影を写真に撮った写真集である。
— 鈴木和成(詩人・評論家)
- 判型
- 260 × 250 mm
- 頁数
- 78頁、掲載作品43点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 1990
- 言語
- 日本語
- ISBN
- 4-915702-00-6 C0072 P5150E