物草拾遺
この作品集は、1980年から2年間『日本カメラ』で連載された48点に、82年開催の写真展で発表された13点を加えた「物草拾遺」シリーズの全体像です。
「写真の画題を考えるというのは厄介なもので、いいタイトルなぞなかなか思い浮かぶものではない。とくに私の写真などは、日本の農民問題とか公害病とかはっきりした主題性をもつものではないから、早い話が題なんかどうだっていいのである。でも題がないのはなんだか顔がない人間みたいでへんだから無い知恵を絞って考えるわけであるが、いま私がやっているのは、人間の愛憎とか哀歓とかいった感情から極力遠去かって、人間でも物体でも、なるべく無機的なモノ自体としてつかまえて表現してみたいということなのである。そこから一流の思想や哲学が生まれてくるとも思えないが、一切の思い入れや憶測をまじえずにモノに対すると一体どういうことになるか、そのへんのところを手さぐりにさぐってみたいというのが私の考えなのだ。そのモノもなるべく日常的、ありきたり、どこにでも転がっているもののほうがいい。それも私は拾って歩くのである。」
― 須田一政『日本カメラ』(日本カメラ社、1980年12月号)「今月の口絵」より一部抜粋
― 出版社説明文より
- 判型
- 207 × 216 mm
- 頁数
- 84頁、掲載作品61点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2023
- 言語
- 英語、日本語