Withered Flowers
枯れた花が好きだ。だけどいつも思うのは、花は茎から切りはなされた時、あるいは土とのつながりを断たれた時、すでに死んでいるのだ。だから、一見美しく生けられた花もすでに死んでいるわけで、その先に枯れるということがある。枯れるといえば、当然僕ら人間が枯れるということに考えが及ぶので、僕のように枯れてきたということは、花のことを考えてみれば、すでに土とのつながりを絶たれているということかもしれない。僕はファッション写真というものが、写真というアートと独立して存在しているということを、このタジイマックスの写真集で初めて知った。そして彼があくまでファッション写真を撮る、ということに矜持のようなものを感じていることも。枯れた花は美しい。なぜ美しいと感じるのか。やはりそれは僕らがそこに無常を見るからに他ならないだろう。花は生死の事実を美しく見せてくれるのだ。そもそも花はなぜ美しいのか。ある学者によると、それは花が美しくあって、昆虫や僕らを楽しませたいからなのだという。僕はそれを信じる。
【坂本龍一あとがきより】
これらの写真群は一般的な美しい花の写真では無いかもしれないが、他者の視点や感覚を一切排除して自分の心に正直に撮ったものである。
【田島一成(アーティストステートメントより)】
- 判型
- 207 × 217 mm
- 頁数
- 88頁
- 製本
- ハードカバー、ケース
- 発行年
- 2020
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 900