El Alto
南米ボリビアの首都ラパスに隣接するエル・アルト(El Alto)。2105年に雑誌『The New Yorker』の依頼でドイツ出身のフォトグラファー、ピーター・グランザーは、世界で最も標高が高いこの街に立ち並ぶ未来的な建築物を撮影した。
2005年からこれら60を超える建築プロジェクトを完成させたのが、エル・アルト出身の建築家フレディ・ママニ・シルベストレだ。独学で建築を学んだフレディは、自身のルーツでもあるアイマラ族(ボリビア、ペルーやチリのアンデス地域に住む先住民族)の織物、ドレス、陶器などの色やモチーフ、またインカ帝国以前の文明(チチカカ湖沿岸のティワナク遺跡など)に見られる力強い石積みにインスピレーションを受けており、自身のスタイルを「新しいアンデス建築」と呼んでいる。また、多くの建築プロジェクトが先住民族が多く暮らす地区で行われている。インカ帝国の征服からスペインによる植民地化のなかで抑圧されてきた先住民族たちのアイデンティティを、彼ら自身に感じてもらいたいというフレディの眼差しが、ここに向けられている気がする。
ウィンストン・ハンペル(英国建築協会付属建築学校の講師)が巻末のエッセイで説明しているように、グランサーは建物に完全に焦点を当て、写真のなかに人は写っていない。また、狭いフレームを強調することで、個々の建物は完全に文脈、時間、空間から切り離され、残っているのは構造と構成のみである。
- 判型
- 320 × 190 mm
- 頁数
- 24頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2016
- 言語
- 英語
- ISBN
- 978-3-945900-05-5