東京
今年で37年目を迎える東京・新宿の写真ギャラリー「Place M」。2023年6月に中国から写真家のフェン・リーを招き、「Flash Theater」展を開催した。リーは、1ヶ月近く東京で撮影と制作を行い、撮影後すぐに写真をセレクトし、写真集を作ることが本書出版のきっかけとなった。これは、CAMPのメンバーである北島敬三の70年代のスナップ写真集『写真特急便 東京』を思い出させるが、この写真集に収録されているイメージも展覧会で撮影されていた。リーの写真に欠かすことのできない偶然と冒険のように、新宿ゴールデン街の写真バー「こどじ」で冷たいビールを飲んでいたら、酔っ払ってやってきた北島敬三に偶然出会った。
リーは東京滞在中に毎日獣のように写真を撮り続け、みんな疲れ切っていた。その日の撮影が終わるとすぐにPlace M近くのセブンイレブンで写真をプリントし(プリント枚数が多すぎてコンビニの写真用紙が足りなくなったこともあった)、Place M 4階の写真教室の壁に貼ってセレクト・編集していた。
写真家の瀬戸正人はリーの写真についてこう評している。「写真には表面と内面の2つの側面がある。この文脈で「表面」というと少し侮蔑的な感じがするが、フェン・リーの写真にはそのような状況はまったくない。表面の高度に統一された平面感と脱力感は、彼の写真作品の奥行きを反映しているにすぎない。」
この軽くてZineのような写真集には、リーにとって非常に個人的であり続ける46枚の写真が収録されている。フラッシュライトに照らされた酔っ払いからタバコを吸う森山大道、東京都心の墓地から蔡國強の花火まで、リーは写真を通して日本の先人たちと時空を超えた議論を展開している。
― 出版社説明文より
- 判型
- 305 × 220 mm
- 頁数
- 48頁、掲載作品46点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2023
- エディション
- 800