対岸
待望の新作!カスピ海を囲む、5つの国を巡る旅。
前作『上海の流儀』で「日本写真協会新人賞」を受賞した百々新が、シルクロードの果てに広がる世界一の湖、カスピ海沿岸の町に降り立ち、風土と人の営みを「目撃」したシリーズ。1991年のソ連解体により沿岸共和国が独立してできた、ロシア、アゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンにイランを加えた5つの国は、古来より人の往来が激しく、さまざまな人間の風土、宗教、習慣が、よじれ混じり対立し共存している。日本ではほとんど紹介されることのない周縁の町にピンポイントで飛来した百々の前に、時に不穏に広がる大地と、人の不可思議かつ普遍の営み。それは、外への出口となる川をもたず、何処にも行き場がないまま塩分濃度の違いから容易に混ざり合うことのないカスピ海の水を思わせる。 カスピの岸に立ち、見えない「対岸」を想う旅。本書は、重厚かつ清新なドキュメンタリーであると同時に、寄せたり引いたりしながら、この未来があるのかないのかわからない土地を見ることで、自らの進む岸を探す記録でもある。
- 判型
- 300 × 207 mm
- 頁数
- 176頁
- 製本
- 上製
- アートディレクション
- 寄藤文平
- 発行年
- 2012