蝉丸
日本の写真家・藤原敦の新刊。藤原が、小学生から20代半ばまで過ごした故郷の滋賀県を舞台にまとめられた一冊である。本書のタイトルにもなっている「蝉丸」は能の謡曲である - 盲目のため逢坂山に捨てられた延喜帝の皇子蝉丸が、そこで髪が逆立つ奇病をもつ姉の逆髪に会い、お互いの不運を嘆き合うという話。藤原にとって「故郷」とは懐かしくも厄介で時に抜き差しならない響きを持って、何かとまとわりつくものだと言う。藤原は、写真を撮ることを通して「故郷」と向き合い、心に「まとわりつく」光と影を繊細に且つ美しく表現した。
作者自身の故郷である滋賀県。そこは能の謡曲「蝉丸」の舞台でもある。「まとわりつく」故郷を被写体にして、「蝉丸の奏でた琵琶の音を思い浮かべながら」 撮った本作は、これまでの藤原の作品の中でもっともパーソナルでありながら、「蝉丸」の世界観を背景にすることで、一線を画した私写真の作品となっている。
― 出版社説明文より
- 判型
- 226 x 260 mm
- 頁数
- 112頁、掲載作品102点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2017
- 言語
- 日本語、英語
- エディション
- 600