島影
物心がついた頃、ペンギン島に行ったという曖昧な記憶があるのだが、島へ行く道すがら見かけた風景はぼんやりとしかよみがえらず、 現実離れした絵の中の風景のようでもある。
船上から眺める島影はかすみ、波間に揺らめき、見え隠れしていた。遠くに近くに見えながら、なかなかたどり着くことができない。記憶の中で小さなシグナルを出すペンギン島は、まぼろしの島である。 その島影は、仄暗い記憶の底にゆらゆらと漂っている。
― 白石ちえこ、あとがきより抜粋
- 判型
- 234 x 235 mm
- 頁数
- 72頁、掲載作品43点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2015、第2刷