松江(復刻版)
1964年夏に松江を訪れていた『暮しの手帖』編集長の花森安治は、植田正治と松江出身の随筆家・漢東種一郎へ「松江の写真集を出さないか」と声を掛けた。しかし花森と一緒に出版することは実現せず、それから14年後の1978年(折しもこの年に花森は亡くなる)米子プリント社と山陰放送のあいだで話が持ち上がり、刊行されたのが本書『松江』の初版である。初版刊行から36年が過ぎた2014年に、出版元の山陰放送開局60周年を記念し復刻版が刊行された。
今は見ることのできない松江の顔、今も変わらぬ松江の顔。1960年をピークに前後八年間にわたって撮り続けた膨大な作品の中から、植田自身が厳選した130点を収録。春・夏・秋・冬の順に章立てられ収録された写真からも「植田調」のエッセンスが垣間見れるような気がする。写真と写真の合間には漢東による四季折々の松江の姿を記した文章が挟まれ、序文を田宮虎彦が寄せている。
「四季折々に、随分と足を運んだ。(...) 真夏以外は、なるべく、雨か曇りの日を選んで、この旧い町の日本的な情緒をと、心がけたつもりだったと記憶している。とに角、その頃の一・二年は、あの重いリンホフを担いで、よくぞ粘ったものだとおもう。」
-植田正治(本書あとがきより抜粋)
- 判型
- 302 × 216 mm
- 頁数
- 187頁、掲載作品130点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2014
- 言語
- 日本語
- ISBN
- 978-4-905323-03-7