Balloon Position
幻の手製本が生き返る。虚無と孤独のなかに浮かび上がる、魂のゆくえ。
この度、赤々舎では、安楽寺えみが20年前に撮影したシリーズ「Balloon Position」を刊行致します。セルフポートレートに位置づけられるこのシリーズは、ハンドメイドの写真集として秘蔵され、これまで発表されることはありませんでした。フィルムを気に入った紙に現像し、ノイズもまた作品の一部として完成させたそれは、紙と特殊なインクの狭間から、分裂し粉々になった自己が再構築されて現れるような衝迫に満ちています。本書は、その一冊を再現しつつ、現在において新たな命を吹き込むものです。
ふくらんだりしぼんだりするバルーンの中で、現実との距離に隔てられ、浮かんでは流れゆく無数のドットを追う時間。内なるカオスと外部のカオスとがぶつかり、死に近く、宙吊りの生。その虚無感と孤独のなかで、私たちが愛し怖れるものを表現しています。
自己を媒体とし、詩的かつ哲学的な深淵を訪ねる、安楽寺のセルフポートレートの結晶とも言える「Balloon Position」。ひとつひとつ、息を吹き込むかのように、手描きのペイント、手作りのオブジェで画面が構成されています。そして、208枚の写真が重層して立ち現れる、生のドキュメントのドキュメントは、ひとつの「遺書」として光を刻み込んでいます。
"如何なる言葉をもってしても、私はこの写真集の説明はできない" 安楽寺えみ
― 出版社説明文より
- 判型
- 257 × 364 mm
- 頁数
- 208頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2019
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 500
- ISBN
- 978-4-86541-102-7