Showa 92
東京オリンピックを目前にし、街はいたるところで浄化作戦が進められている。
この事が良いとか悪いとか言うことではない。
ただ白か黒か、正義か悪かでは決められない、グレーな文化、矛盾の文化もいよいよ無くなろうとしている現実がある。
崇高さといかがわしさが共存し、恐怖と滑稽が交錯し、生と死の匂いがする。
その表裏一体は、本来あるべき人間らしさのように感じてならない。
日本という国が完成してゆき、共存の隙を許さず、世の中に逃げ場込む場所(アジール)が希薄になった今、それらの物を僕なりの方法論でしっかり記録して行きたい。
— 薄井一議
*アジール “侵すことの出来ない聖域”もしくは“逃げ込めば法律の力が及ばない保護区域”の事をいう。
作者にとっての「昭和」とは、けっしてノスタルジーではなくスーパーフラット化される現代社会と真逆にある、生き抜く力強さの象徴であると語っています。この作品群におさめられているのは、津軽の人形婚、日本最後の見世物小屋、元任侠の三線弾き、秘宝館、闘犬などの光景が次々に登場します。これらの現代日本からアウトサイドの位置に置かれている文化、そこにに漂う崇高さといかがわしさ、恐怖と滑稽、生と死、相反するイメージが写真というメディアを使い、現実と夢の間をぬって白昼夢のように写し出されています。
― 出版社説明文より
- 判型
- 182 x 257 mm
- 頁数
- 80頁、掲載写真39点
- 製本
- ハードカバー
- 発行日
- 2015
- エディション
- 1000
- ISBN
- 978-4-905453-37-6