Ton! Tan! Pan! Don!
さまざまなフィールドを横断しながら、精力的に表現活動を続ける写真家/映像監督・奥山由之の作品集『Ton! Tan! Pan! Don!』。2020年晩秋の某日、奥山はとある雑誌の撮影で多摩川を訪れていました。その撮影の空き時間、わずか数分のあいだに切り取られた23のイメージには、辺りを染める夕日の中、躍動する二人の姿だけが収められていました。
Ton! Tan! Pan! Don!
久しぶりに“写真”が撮れた。
それはそれは嬉しかった。
“写真”とはこういうものだよな、と思った。
だから記念に、まとめることにした。
シンプルがいいじゃない。
二人の瞳と、そこに映る夕陽は、ああ、なんて綺麗なんだろう。
シンプルっていい。
トンッでタンッでパンッでドンッ! だ。
目が醒めて、僕は気がついた。
この十数年で、あまりにも多くの写真を撮りすぎてしまった。
いつからこんなにも頭でっかちになったのだろう、と悔しくてならない。
シンプルができない。
創作も生活も、シンプルができない。
ああ、どうしてしまったのだろう。
でも、きっと大丈夫。
僕にだって大好きな人がいるし、だからこそ幸せな瞬間がある。
それだけはシンプルだ。
“トンッでタンッでパッ!”
あたりまではきているはずだ。
いい調子だ。
いい風が吹いている。
さあ、張り切っていこう!
トンッ!― 奥山由之
- 判型
- 257 × 182 mm
- 頁数
- 32頁、掲載作品23点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2021
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 700