Torikumo
torikumo=季語の「鳥雲に入る」を由来。
春に北方に帰る渡鳥が雲間はるかに見えなくなること。
故郷・東北を写した『いくつもの音のない川』、場所を特定せず雪の景色を収めた『winter』と、藤田はるかは、対象に目を凝らし、対象と自身の距離感を確かめながら、写真というメディアに定着させてきた写真家。本作は、襖絵や屏風に描かれてきた花鳥風月を、自身の写真で表現した意欲作です。画材屋で譲り受けた金箔と銀箔貼りの襖を撮影、それをプリントした印画紙を下地として、花や木、鳥などの厳しくも美しい自然や動物といった被写体を古い4×5のフィルムで撮影し、その印画紙に重ねてプリントするという手法で制作。暗室での手焼き作業により、濃淡のテクスチャーなど、偶然やその場の発見を取り込みながら一点一点作品を生み出していきました。出来上がった作品は、襖絵に特徴的な余白(間)を生かした構図で、暗色を基本としながら何層もの色調が重なる様は、はるか長い時間を経て存在する絵画作品のようでもあります。蛇腹状にページが続いてゆく造本も相まって、絵巻物のような写真集となりました。
― 出版社説明文より
- 判型
- 190 × 151 mm
- 頁数
- 72頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2022
- 言語
- 英語
- エディション
- 500
- ISBN
- 978-4-908062-46-9