TOKYO BLUR
雨。夜。生活。ジャパン。共存している内部と外部からの騒音を捉える。それはリズムを提供し、人間のプライバシーを支えている時間のなかで浮遊している。テクスチャー。そして「ぼかし」の周りで展開される全てのもの。セサル・オルドネスが強調するように、それらは様々な人生のレベルにおいて、人生はそれを経験する人々の手の中にあるのではなく、むしろその逆であるということに気づく為の乗り物である。
シルク糸のような花びらで川が覆われ、桜がぼんやりと揺れている。そして近くでは、サギが周囲の空気のバランスをとるかのようにたたずんでいる。オルドネスの作品は、発想転換を助成する言語のようなものである。ぼかしが詩やシンボルを育てる。登山者の少ない方から捉えた富士山の一日の始まり、プラスチック製の水槽からぼやっとみえる食堂、周りの明瞭さに気づかず、そしてまた決して触れず。傍観者が上に坂を向かってあがっていくにつれランドマークを形成していく。黒から白へ。推測できるものから実際のものへ。それは発見の旅。Tokyo Blurは知識への切望と成長を提案する。ゆっくりとした黙想および密接した個々のプロセスの静かな提案。イメージが穴を通して誘惑する。その穴に触れて見つけたいと願う、それはみなが自身の鏡の中で見つけたいと切望しているであろう解釈。まさに長い道のり。
もしあなたがどうしてセサル•オルドネスの日本という宇宙にアプローチしなければならないかと疑問に思うなら、答えはTokyo Blurを支えている相反するペアのごとく明らかである。「ただ単に向かうのではない。挑戦である。」
ーAlejandro Palomas
「私は今東京にいる。外は暗く雨が降っている。周りの全てのものがぼやけている。人々の顔や、灯り、過ぎ去りし日々。徐々に自分が消えていくのを感じる。感覚がなくなってゆく。でも怖くはない。むしろ真逆だ。身体の中を静寂、認識、復活などの感覚が突き抜けてゆく。私の視界を妨げた最初の霧の向こう側には、全てが透き通って、はっきりとして私を待っていた。この土地に来た理由を理解しようとしながら、私は自分の生涯を整理し始める。」
ーCÉSAR ORDÓÑEZ
- 判型
- 170 x 210 mm
- 頁数
- 64頁
- 言語
- 英語、スペイン語
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2014