他なるもの
「他なるもの」というタイトルは、ドイツの宗教哲学者R.オットーが『聖なるもの』(1917年)の中で、非合理的である聖性の本質として提示した概念「ヌミノーゼ(畏怖と魅惑という両義的体験を引き起こす神秘)」を示すために用いた「全く他なるもの」という表現に由来しています。
世界と自分との関係性に「意味のある偶然」が潜むことを感じた小平は、その「偶然」に触れた時の感覚を落とし込み、他者と共有する媒体として写真表現に取り組むようになりました。
…撮影は直感の中にある。…理由がわからなくとも対象から受け取った感覚を信じること、例えば胃が少し引っ張られるような鈍い違和感、それが過ぎ去る前に撮っておく。ひどく繊細な無意識からの信号は様々なかたちで現れ、方法として確立しないが、撮影を繰り返すことで未知の感覚、又は長い間忘れていた感覚へ降りてゆけるような気がする。
小平雅尋、2013年3月23日
(個展「他なるもの」(2013年)に際し寄せた文章より抜粋)
- 判型
- 268 x 210 mm
- 頁数
- 36頁、掲載作品28点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2015
- 言語
- 英語・日本語