在りて在るもの
気の向くままに撮り歩いていると、理由はわからないが眼が引き付けられることがある。違和感を覚えながらもカメラを構え、幾つかのダイアルを操作しながら心の的を絞ってゆく。何故私はそれを見たのだろうか。気が付けばすでにそれを見ていたし、今もまだ見ている。こんなとき大抵は「気が向いた」という言葉で済ませるかもしれないが、よくよく考えるとこれは恐ろしいことだ。気が向いたのは本当に私なのだろうか。そもそも私はその対象をどのように見始めたのだろう。眼が捉えてから物事に気付いている事実に動揺する。
私の意識が気付く前に、視野を見渡し事態を把握する<何か>がいる。意識にそれを見ろ、判断しろと促し続ける、もう一つの隠れた存在。
2017年9月 小平雅尋
- 判型
- 190 x 190 mm
- 頁数
- 48頁、掲載作品36点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行日
- 2018
- 言語
- 英語、日本語