M/E 球体の上 無限の連なり
写真家・川内倫子の国内では6年ぶりの大規模個展図録
写真家・川内倫子(1972–)は、柔らかい光をはらんだ淡い色調を特徴とし、初期から一貫して人間や動物、あらゆる生命がもつ神秘や輝き、儚さ、力強さを撮り続けています。国内では約6年ぶりとなる大規模個展である本展では、この10年の活動に焦点を当て、未発表作品を織り交ぜながら川内の作品の本質に迫ります。
展覧会カタログでは、新作『M/E』のほか、日本未発表の『4%』、新作を含む『An interlinking』など、展示の核となるシリーズから最新の映像作品まで、立体的な展示空間を追体験できるようなシークエンスを作家自身が構成しています。また川内が制作の上で影響を受けた佐治晴夫氏との対談や、篠原雅武氏含む3本の論考を収録し、イメージとテキストの両側から川内作品の現在地を深く探ります。
展覧会の中心となる『M/E』では、アイスランドの火山や流氷の姿や北海道の雪景色と、コロナ禍で撮影された日常の風景を織り交ぜています。一見するとかけ離れた無関係のものに思えますが、どちらもわたしたちの住む地球の上でおこっており、川内の写真はそこにある繋がりを意識させます。展覧会を通して、人間の命の営みや自然との関係についてあらためて問い直す機会となることでしょう。
― 出版社説明文より