目ざめて腕時計をみると
時間は一瞬一瞬を容赦なく過去に追いやっているのに、写真を観ている「私」には、それがほんとうに過去なのか現在なのか未来なのかが、もうわからない。軽いめまいに襲われた「私」はまた、そのめまいのなかで心の焦点が妙にあってくるのを感じている。病を得ているわけでもないのに恢復期にあるような、不思議な感覚だ。
― 堀江敏幸、「目ざめて腕時計をみると」より抜粋
- 判型
- 160 x 158 mm
- 頁数
- 206頁、掲載作品198点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2012
- 言語
- 日本語
時間は一瞬一瞬を容赦なく過去に追いやっているのに、写真を観ている「私」には、それがほんとうに過去なのか現在なのか未来なのかが、もうわからない。軽いめまいに襲われた「私」はまた、そのめまいのなかで心の焦点が妙にあってくるのを感じている。病を得ているわけでもないのに恢復期にあるような、不思議な感覚だ。
― 堀江敏幸、「目ざめて腕時計をみると」より抜粋
堀江敏幸