Megalith-Still
アメリカ人写真家、ミミ・プラムの息をのむような最新写真集は、手つかずのアメリカの風景の中にある崇高さについての瞑想である。
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、プラムは毎年夏になると、サンフランシスコの自宅からキングスキャニオン国立公園を訪れ、そこで馬の一団と触れ合った。そして、深い優しさと力強い肉体的な重みを帯びた馬の群れのポートレートシリーズ『Megalith-Still』を制作するようになる。
馬たちは横になって眠り、脚をピクピクさせ、口を草の葉で包んでいる。その潤んだ、揺らめく目にハエが寄ってくる。私は焦点を合わせられるだけ近づいて、馬の顔、尻尾、蹄、腹を観察し、馬と場所の官能性に魅了されている。
私はシエラネバダの高地にある草原にいる。サンホアキン川の水路が生い茂る草原を縫うように流れている。私は靴と靴下を脱ぎ、ズボンをまくり上げ、浅瀬を歩いて馬たちが食事をしている場所まで行く。馬たちは草原を行ったり来たりしながら、食べたり飲んだり眠ったりしている。
午後遅く、馬たちは突然、一列になって草原を去った。厚い泥と枯れ木、腕にひっかかる枝が生い茂る沼地を、私は馬を追いかける。馬たちは小走りや駈歩を繰り返し、その日一日中動いたことのない速さで駆け抜けていく。私は追いつけない。本流の川岸の端まで来ると、最後の馬が用心深く、流れの速い深い水の中に足を踏み入れ、ゆっくりと向こう岸へ流れていくのが見えた。
― ミミ・プラム
― 出版社説明文より
- 判型
- 250 × 220 mm
- 頁数
- 136頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2023
- ISBN
- 978-1-913288-56-3