Lines and Bodies
本書『Lines and Bodies』は、シカゴのニュー・バウハウスの形式的アプローチと日本の美学の真髄を組み合わせた、石元泰博(1921-2012)の象徴的なシリーズを紹介している。このモノグラフによって、生前はほとんど作品を発表しなかった写真家の作品を再発見することができる。その特異なビジョンと、時に抽象にまで踏み込んだモチーフの作品によって、石元は美術界のキーパーソンとなり、1960年代の日本の写真シーンを震撼させた。石元泰博フォトセンターとの緊密な共同作業により企画された本書は、パリのLe BALで開催中の同名の展覧会(2024年6月19日〜11月17日)に付随するもので、キュレーションはディアンヌ・デュフール(Le BAL 共同ディレクター)と朝倉芽生(高知県立美術館 学芸員)が担当。
同時代の写真家からはアウトサイダーと見なされていた石元は、当時の日本の写真シーンに形式主義的な視点を持ち込んだ。街角の風景、ハロウィーンの仮装をした子供たちのポートレート、看板、労働者階級が住む地域のビルのファサードなど、彼の写真はフレーミングの巧みさと、テクスチャーやモチーフに対する繊細な感覚を物語っている。
本書では、写真家の代表的な作品を掲載。その中には、「シカゴ」や、海水浴客の足が組み合わさり、グラフィックで無限の構図を生み出す「ビーチ」シリーズ、京都の桂離宮の細部(流線型の構造、庭園、石畳の道)を捉えた石元の最も象徴的なシリーズのひとつである「桂離宮」が含まれている。
石元作品の最初の数十年間にも焦点を当てた本書には、ディアンヌ・デュフールによる序文と、石元が関わった様々な地域における石元の影響力を検証する3つのテキストからなる批評資料が収められている。
― 出版社説明文より
- 判型
- 290 × 220 mm
- 頁数
- 216頁、掲載作品163点
- 製本
- ハードカバー、ケース
- 発行年
- 2024
- 言語
- 英語
- ISBN
- 978-2-365114-06-6