無限抱擁〔新版〕
チェルノブイリ原発事故による汚染地域を本橋成一が初めて訪れたのは、1991年。事故から5年後のことだった。
石棺と呼ばれる4号炉の前に立ったとき、二度と来るべきではない場所だと思い、病院で甲状腺機能障害や白血病の子どもたちに出会った時、とても写真など撮れるものではないと思ったと言う。しかし、チェチェルスクの汚染された大地に暮らし続ける人々との出会いから、現地に度々足を運ぶこととなる。
美しく雄大にあり続ける大地と、そこから離れない人々。「どこへ行けというのか、人間の汚した土地だろう」とつぶやく老人。
人が住んでいようといまいと汚染区域を示す標識がたてられていく。しかし、そこはサマショール(わがままな人)と呼ばれる彼らにとっては、離れ難い愛する故郷なのだ。
牛やブタを飼い、じゃがいもを育て、鹿を狩り、文明に追いすがることなく自分たちの暮らしを生きる。汚染された土地にも草木はまた芽生え、季節がめぐる。
チェルノブイリ事故から30年、東日本大震災から5年を経たいま再び注目を集める、生きることの原風景を写し出した写真群。
― 出版社プレスリリースより
- 判型
- 290 x 218 mm
- 頁数
- 136頁、掲載作品132点
- 製本
- ハードカバー
- 発行日
- 2016
- 言語
- 日本語、英語