Farewell Horse
2009年にRat Hole Galleryで開催されたロー・アスリッジの個展「Goodnight Flowers」に併せ刊行。「Horses」と「Flowers」のシリーズを中心に構成されている。
今回出展される「Horses」はアスリッジの生まれ故郷にほど近いジョージア州カンバーランド島に生息する<野生>の馬を撮影したシリーズです。アスリッジは、デジタルカメラを用いカラー撮影したのち、白黒に変換し、それをバライタ紙に焼き付けるという作業を行いました。また、観光の目玉ともなっているこの<野生>の馬は、スペイン人により16世紀に持ち込まれ、20世紀前半にはこの島の大部分を所有していたカーネギー家により飼われ、そののち国立公園として指定され人為的に<野性>に返されたという歴史を持ちます。しかし現在はそのために頭数が増え、海岸の砂のついた海藻を食べるようになり病気になった馬を一時的に保護、治療し、ふたたび<野性>に返すという活動も行われています。
そして「Flowers」は10年以上前にピンホールカメラで撮影されたカラーネガ・フィルムをデジタル・スキャンし白黒に変換されたものが、「Horses」と同様バライタ紙にプリントされています。
きれいで美しいこれらの写真は、フォトジェニックでありながら2重、3重にと錯綜しており、見るものに何度も写真の前に立ち帰ることを要求する力を持っています。また、アスリッジの写真のイメージとモチーフの両方からは、アスリッジがアメリカン・フォトグラフィーの歴史を自覚的に受け継ぐ、次の世代の数少ない写真家のひとりであるということが読み取れます。
― 「Goodnight Flowers」展のプレスリリースより抜粋
「ある写真が壁やバス停にあって、テキストを描写していようが、キャプションがつけられていようが、その写真は同じである。写真はいたるところにあり、様々な形をとる、そしてそれは専門家あるいは愛好家、また時にはその両方のためのものにも同時になりうる、という事実をわたしは気に入っている。」― ロー・アスリッジ
- 判型
- 300 × 230 mm
- 頁数
- 64頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2009