成長の代価
平林達也氏が、1998年当時住んでいた東久留米は、まだまだ武蔵野の面影を残す町であった。しかし駅前を中心に大規模な開発が始まる。建設の過程で自然が破壊され、都市化が推し進められていく様子を撮影し、1冊の写真集としてまとめた。使用したカメラはヤシカフレックス1957年製。6×6cm判の二眼レフで、フィルムの巻き上げとシャッターセットが連動していない。そのカメラの未成熟な部分を逆手にとって、ほとんどの作品を多重露光という技法で撮影している。つまり2回の露光を与えて1枚の写真として構成しているのだ。1枚撮影したシーンを頭に叩き込んでおき、その画面に合うもう1つのシーンを緻密に組み合わせていく撮影作業だ。結果として同じようなカットはほとんど生まれてこない。この「成長の代価」は東京という都市周辺の発展と失ったものを鋭く写しとめた1冊である。
- 判型
- 257 x 178 x 5 mm
- 頁数
- 48頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2009
- 限定500部
- 言語
- 日本語、英語