Combing for Ice and Jade
本作「Combing for Ice and Jade」は著者の香港人写真家カート・トンによる彼の乳母に対するラブレターです。トンの乳母は"自梳女"という、多大な代償を払いながらも自身の権利を得るフェミニズムの初期の形態でもあった立場を貫いた女性でした。
カート・トンは7年近くの時間をかけて、この乳母と共に作品を作り上げました。乳母は、長い人生のなかで、自身の写真はたった8枚しか持っていませんでした(表紙に8つの四角がありますが、これは8枚の証明写真を暗喩しています)。
本書は彼女の特異な人生を探る1冊になっています。
彼女の物語は、ページをめくっていくと順々に明らかになっています。
乳母として関わったトン家の家族写真、彼女の親戚の家から見つかった写真、新しく取り下ろした写真、墨を使った作品、過去60年で中国で出版された女性に関する雑誌などが束ねられています。
とても丁寧に編集され、デリケートな作りで彼女の人生を多角的に捉えた1冊になっています。個人の人生から中国、香港の歴史も見えてきます。
*自梳女... 一生独身を通すと宣言した女性のことです。19世紀の後半~20世紀はじめに、順徳や南海といった特に中国南部で盛んだった風習。未婚の女性は髪を長くしてお下げに結び、結婚前に結いあげたが、自梳女は自分で髪を結いあげた。『梳』(シュ)は梳くというほかに、髪を結うという意味もある。
― ディストリビューター説明文より
- 判型
- 175 × 245 mm
- 頁数
- 278頁+8ブックレット
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2019
- 言語
- 英語、中国語
- エディション
- 700