Snack Sakura
日本で過ごしたことのある人なら、「スナック」と呼ばれるある種の飲み屋を知っているかもしれない。大都市から小さな町まで、全国どこにでもあるスナックは、カウンターと数脚の椅子、そしておそらく1つか2つのテーブルで構成されているのが一般的だ。たいていは中年の女性(ママ)か、あまり多くはないが男性(マスター)が仕切っている。客は常連が多い。普通のバーでは、初めての客は店に入って席に座るだけだが、スナックでは初めての客はまずママに「入っていいですか」と聞くのがマナーだ。エンターテイメントと呼べるものは、ママとの会話、他の客との会話、そしてカラオケである。ドリンク・メニューは限られており、基本的なもので、派手なカクテルはない。この文章を書いている時点では、この国で最もおしゃれでない飲み屋のひとつとみなされている。
このプロジェクトは、何年か前に日本を旅行していたときに、どの町にも「さくら」という名前のスナックがあることに気づいたことから始まった。さくら(桜)という名前は、あまりにもありふれた名前なので、ちょっと想像力に欠けるかもしれない(しかし、都築響一さんが指摘したように、覚えやすいという利点はある)。ひょっとして「スナックさくら」が最も人気のあるスナックの名前なのだろうかと思い、全日本スナック連盟に相談したところ、確かに会員の間では「スナックさくら」が最もポピュラーであることが確認できた。そこで私は、沖縄から北海道まで全国各地のスナックさくらをできるだけ多く訪れ、写真に収めようと決めた。
最初のうちは、さくらというスナックを探したわけではなく、ただ偶然見つけただけだった。実際に探してみようと思った途端、事態はさらに難しくなった。電話番号もウェブもない店が多く、行ってみると名前が変わっていたり、建物が取り壊されていたり、閉店したまま再オープンしていなかったりする。しかし、列車、飛行機、フェリー、ホテルの部屋での旅を6年間続けながら、私は少しずつ前進し始めた。今では47都道府県の半分以上で「さくら」と名付けられたスナックを撮影している。外観、内装、店主、店員、そして客。「スナックさくら」は、決して「隠された」世界ではなく、ある角度から見ることで初めて見えてくる世界を紹介している。
― グレッグ・ジラルド
編集者、写真家であり、スナックに造詣が深い都築響一と作家との対談を収録。
$92.52
税込予約販売
2025年4月10日発送予定
- 判型
- 287 × 224 mm
- 頁数
- 272頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2025
- 言語
- 英語