字
感動しない風景に感動することに、感動する。
GALAPA Programの第四作目、富澤大輔写真集『字』。
一年前、富澤大輔のもとに、実家の母親から一枚の写真が、送られてきました。それは富澤が小学生の頃、学校の授業で書いたであろう「字」という一文字が書かれた色紙でした。富澤はこのえも言われぬ「字」という字の良さに素朴な感動を覚えます。
これはそんなえも言われぬ感動をキーワードにしてつくられた写真集。一年にわたって撮影された九千枚以上の写真から選ばれた、三百六枚の写真で構成されますが、その感動の種類が一体なんなのか説明のできないままに選ばれたこれらの写真たちは、こうして束になってもいまだ言葉を与えられることができないままでいます。この量で組むことでしか、つくることのできなかった感動を是非、体験してみてください。
巻末には、植民地美術史研究者・柯輝煌(かきこう)による論考文も掲載されています。文字の発生から「絵画と書道」の差異、「模倣と創造」を【前近代/近代】という概念を通してめぐることで、今日「表現」とよばれているものの根源へと接近していく文章となっています。
― 出版社説明文より
天地が未だ混沌としていた古の時代、倉頡により文字が創造された。
文字が生まれるや否や、忽ち天変地異が起こり、鬼神が哀哭したと伝説は伝える。
ふだん、考えてみれば「木」、という字を書く場合に、本物の木を思い浮かべる人はどれぐらいいるのだろうか。
世界の果ての、そのまた果てまで探索したところで、現実世界で「字」と完璧に対応した物は見つからないのである。― 柯輝煌
- 判型
- 169 × 112 mm
- 頁数
- 336頁、掲載作品306点
- 製本
- ハードカバー、ケース
- 発行年
- 2022
- 言語
- 日本語、中国語
- エディション
- 500