VERTIGO
横田大輔は1983年生まれの写真家で、2011年に制作したセルフパブリッシング『Back Yard」の驚異的な拡散を皮切りに、「site/cloud」の個展開催 (G/P Gallery)、及び写真集刊行 (Artbeat Publishers)、Unseen Photo Fair 2013 において"The Outset | Unseen Exhibition Fund" 初の受賞者となり、現在アムステルダムの美術館 Foam Museumで同タイトルの個展を開催中と、国内外でその活動の幅を広げ、今後のコンテンポラリー・フォトグラフィーをリードしていく作家の一人と見られています。
これまで横田は、かつて目の前の光景を記録した像 = 写真を解体し、その結果更新される今・現在のイメージを上書きして定着させることをテーマとして作品を制作しています。乗算されたイメージは、ざらついて、不穏な、見る側の知覚に刺激をもたらすものになります。そういった視覚的な効果を獲得するために、横田はフィルムの高温現像、Photoshopによるレタッチ、またそれらの複写など、写真現像やプリンティングにまつわる様々な手法を駆使し、溶解した乳剤、フィルム面に付着したチリや埃などのノイズから表出したフォルムを掬い取り、偶然性を介入させながらイメージを生成します。結果的に横田はその過程において写真を成り立たせる中間層であるメディウムの存在に肉薄し、作品として結実させていきます。
この度リリースする、アルフレッド・ヒッチコックの名作サスペンス映画と同じタイトルである最新作「VERTIGO」は、そういった横田の特徴を最も鋭敏な形で体現したシリーズであり、「Back Yard」の進化系と位置付けることができます。
加えて、ヌードのクローズアップや上空からの撮影などのこれまでにない視点によるアプローチや、シークエンスを意識させる編集により映画や絵画など他の視覚芸術との接続点を見ることができます。
― 出版社説明文より
- 判型
- 293 x 208 mm
- 頁数
- 96頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行日
- 2014
- エディション
- 500