狐の嫁いり
デビュー作「ID400」から最新作まで、主要作品を網羅をした、澤田知子の25年の歩みをまとめた1冊
澤田知子は大学の卒業制作で実質的なデビュー作と言われている「ID400」(1998年)で2000年度写真新世紀特別賞を受賞、2003年度第29回木村伊兵衛写真賞に続き、2004年にはNY国際写真センターThe Twentieth Annual ICP Infinity Award for Young Photographerに選出されるなど、デビューから現在に至るまで、国内外で高い評価を得ている作家です。本書は澤田にとっては初の公立美術館での大規模個展となる、東京都写真美術館での「澤田知子 狐の嫁いり」展(2021年)に併せて刊行されました。本書では、「ID400」から最新「Reflection」に、これまで未発表の初めてのセルフポートレイト作品を加えた13シリーズを収録しています。
「ID400」は、当時現役で稼働していた、現像液を使用するタイプのモノクロ自動証明写真機を使って、400人の実在しない他者に変装して撮影された作品ですが、この時点で自ら「シャッターを押すことのない写真家」というスタイルが確立していることが分かります。
一方、最新作の「Reflection」(2020)は、100人の女性に扮した澤田の「後ろ姿」を写した作品です。後ろ向きのシルエットは間違いなく作家本人ではあるものの、トレードマークといえる「顔」が隠されていることで、見る者は後ろ姿に澤田を見ることも、身近な誰かを、あるいは自らを重ね合わせることも可能になる、澤田の真骨頂とも言える作品です。
セルフポートレートの手法を軸に、一貫して内面と外見の関係性をテーマに制作を続けてきた澤田知子。簡単に写真が撮影、加工、共有でき、「自撮り」文化が標準化された今、改めてその作品の真価が発揮されます。
― 出版社説明文より
- 判型
- 153 × 110 mm
- 頁数
- 272頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2021
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 978-4-86152-836-1