The Joy of Portraits
1976年、北島敬三はベトナム戦争終結直後の沖縄・コザの基地街を撮影した作品で鮮烈にデビューする。その後、東京、ニューヨーク、東欧へと撮影地を展開していく。その写真は、いまも卓越した光彩を放っている。しかし自身は91年、崩壊直前の旧ソ連での撮影を最後に、ストリートからスタジオへと大きく制作方法を転換してしまう。北島はその時点で、スナップショットにおける「選択」と「瞬間」の美学を否定した。
《PORTRAITS》は、大型カメラを使い、決められた条件と手順に沿って、同一人物が一定期間を置いて繰り返し撮影されている。モデルは300人以上、作品の総点数は2000点を超えた。このシリーズには、通常の意味での終わりも完成もない。したがって成功もない。美意識とも趣味判断とも無縁の、ただの「顔の写真」である。でありながら、いや、だからこそと言うべきか、見た者は恐るべきイメージの運動に出会う。感情移入や解読の可能性を奪われたまなざしは、表面へと、「厚みなき厚み」へとまっすぐに折り返されて止むことはない。これは、写真を見るという経験の特徴ではないだろうか。そのときわれわれは、「顔の写真」がモデルや記憶の代理物などではなく、「実物」そのものであることを知る。スナップショットを捨てた北島がこのシリーズに賭けたものは、想像以上に大きかったのかもしれない。
本書『The Joy of Portraits』は、1992年から最新作までの《PORTRAITS》と、75年《KOZA》から91年《U.S.S.R.》までの、全2巻、総頁数874頁で構成され、北島敬三という類い稀なる写真家の全貌が明らかにされる。批評家・倉石信乃による精鋭論考「顔の名宛」と「遭遇の技術」は、その補助線となるものである。
― 出版社説明文より
目次 *全2巻函入
『The Joy of Portraits 1』160ページ
PORTRAITS 1992-
『The Joy of Portraits 2』714ページ
KOZA 1975-1980
TOKYO 1979
NEW YORK 1981-1982
EASTERN EUROPE 1983-1984
BERLIN, NEW YORK, SEOUL, BEIJING 1986-1990
U.S.S.R. 1991
テキスト 倉石信乃
- 判型
- 285 × 220 mm
- 頁数
- 874頁
- 製本
- ハードカバー、ケース
- 発行年
- 2009
- 言語
- 英語、日本語