龍宮
房総から伊豆、紀州へ夜の旅にでた。
黒潮に誘われ、波景色に沿って海岸線を移動した。
時折、海辺が遠い異郷に見え出すことがある。
神話が生まれ出そうな風景や、
この世でありながら黄泉の世界に紛れこんだような原初の
風景に出会うことがある。
夜の波打ち際には、黒潮に乗って太古の時間や懐かしい大気の匂いが漂着し、
何千年も変わらない世界の遠い記憶や、
我々の中に潜む動物的記憶を揺さぶる夢のような風景が眠っていた。
そんな風景の隙間から、
あの世を予見するような無垢な風景〈龍宮〉が現れてきた。
― 中里和人、あとがきより
- 判型
- 365 x 258 mm
- 頁数
- 20頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2013
- エディション
- 600