One Life
ソウルを拠点に世界的に活躍するAhn Junの最新刊。2013年から2018年まで、ソウルを皮切りに、日本、トルコ、アラブ首長国連邦、イギリス、アイルランドなど世界各地で撮影された作品88点が収録されている。自身の家族によって投げられたリンゴが空中にある瞬間をハイスピードシャッターにより撮影している。作品編集の過程では、落ちるべき運命と重力に逆らったまま空間が停止していることを示唆するイメージのみを選択し、文脈が失われた瞬間に生み出される超越性を露わにしようと試ている。それは祖父の死を境に作家のなかに芽生えた死生観のメタファー「死に向かう過程としての生」を、写真という形で私たちに提示している。
ブックデザインは、東京アートブックフェアや竹尾ペーパーショウのアートディレクターである田中義久が手掛けている。本文では、時間の経過とともに変化していく紙の色合いを表現する為、少し黄色みのある紙を使用し、作品イメージに対して余白を存分にとりレイアウトされている。「メメント・モリ」という生に対する意識の表出、幻想でもありながら現実に入り込むイメージ、こうした作家の世界観とシンクロしたデザインを手に取って感じていただきたい。
どうすれば生と死を目に見える形に置き換えられるのだろうか?
生への理解が私たちに内在する“恐れ”を和らげることはないだろう、だからこそ偶然と必然が運命のように交差する時に生み出される「一瞬」が美しい。
−アン・ジュン
巻末には、作家自身によるステートメントと、Total Museum of Contemporary ArtのチーフキュレーターであるNathalie Boseul Shin(シン・ボスル)氏による寄稿を英文にて収録。布貼りのボックスに収められたオリジナルプリント付きスペシャルエディションも同時刊行。
- 判型
- 250 x 326 mm
- 頁数
- 128頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2018
- 言語
- 英語
- ISBN
- 978-4-908526-22-0