Nihilartikel
ドイツ語の「nihilartikel」という用語は、学術書、辞書、百科事典、地図、名簿などの参考文献に、意図的な誤りや虚偽、あるいは架空の項目を挿入し、後に盗作やコピー、知的著作権の侵害を特定することを目的とする、あまり知られていない慣習を表すのに使われる。このややとらえどころのない実践をサブテキストとするイザベラ・プルタの新作は、一連の不安定でダイナミックな視点から、写真とその中心的な問題である真正性と表現にアプローチしている。
ポーランド生まれでオーストラリアを拠点に活動するこのプルタは、マルタ島と日本の水中で撮影されたドローン空撮映像や動画から得た写真と、絶版になった地図やよくわからない海洋地図を使った伝統的な暗室プリントを使って、構図を構築している。古代の表面や建築物は、その深い時間の証拠で波打ち、巨石は青い深海からこっそりと姿を現し、地図はそれ自体で崩壊し、色、層、テクスチャー、フォームの鮮やかな相互作用によって句読点を打っている。
デザイナーのポール・マイレシャランとキム・マム・ハンセンとの流動的なコラボレーションにより、プルタは海とその周辺の風景を、誤りやすく争いの多い空間として描いている。公式の説明は疑問視され、拡大された写真の素材性、並置、グラフィックのフォーマリズムが、既成の知識体系を断片化する。プルタのコンセプチュアルな核心は、探求、反復、赤毛、残滓にある。『Niilartikel』は、プルタが2019年に出版した写真集『Figures of slippage and oscillation』に続くもので、私たちが経験する海そのものの不安定さと関係性を反映し、写真を見る、作る、読むという従来の様式のドグマをどのように解きほぐすことができるかという問いを投げかけている。
― 出版社説明文より
- 判型
- 317 × 240 mm
- 頁数
- 128頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2022
- 言語
- 英語、ドイツ語
- エディション
- 700