Figures of Slippage and Oscillation
シドニーを拠点とする写真家/アーティストのイザベル・プルータのデビューブックとなる本書は、『The Reader’s Digest Great World Atlas』1961年版・1968年版・1970年版それぞれの折込地図を撮影したコンタクトプリントによる作品群「Spatial misalignments」から構成されている。3つの異なる年代に発表された“アトラス(地図帳)”に光を当てることで、世界の地政学的な移り変わりが示唆的に表現されている。
1961年にはベルリンの壁の建設が始まり、ジョン・F・ケネディがアメリカ合衆国の大統領に就任し、平和部隊が創設される。1968年にはジョン・F・ケネディ大統領はすでに亡くなっており(1963年に暗殺される)、彼の実兄とキング牧師もこの年に暗殺されている。“プラハの春”、パリでの“五月革命”に象徴されるような市民による社会変革運動が世界に吹き荒れていたのもこの年だ。1970年には「アースデイ」が誕生し、世界初のジャンボジェット(ボーイング747機)が就航した。この9年の間、国境/境界線は絶えず変化していたように映る。
プルータが自らの手法で再解釈した“マップ(地図)”は、私たちが知っているランドスケープを別の形で浮かび上がらせている。
メルボルンの詩人リサ・ゴートンとの協働によるテキスト作品と、Art Gallery of New South Wales オーストラリア現代美術部門チーフ・キュレターのイソベル・パーカー・フィリップの実験的なエッセイも是非読んでいただきたい。
- 判型
- 320 × 240 mm
- 頁数
- 88頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2020
- 言語
- 英語
- エディション
- 500
- ISBN
- 978-0-6486801-0-9