骨肉
骨と肉の細部に分け入り、生命記憶の痕跡をさぐる。
「骨の肌理を触り 肉の香気を嗅ぎながら 原初の光のただ中に 骨肉のバラッドを聴く」
博物学や動物学、医療の現場の取材を重ね、ドキュメンタリーと表現との架け橋となる写真を探求してきた作家の集大成。
人は己の骨や臓器を直接に見ることはできない。
自らの内なる神秘に導かれ、生命につながるリアルさや自然の造形の美しさに魅入られて、骨の撮影を重ねてきた。
脊椎動物が誕生した5億年前から刻まれてきた骨の記憶。"生命の編集"を繰り返してきた痕跡。
その生命記憶を体現する胎児の身への驚きを通して、老い、病、死の現場にも立ち会ってきた。
「肉の具体」が溶けて「骨の抽象」が現れ、鉱物への兆しを帯びる。ひとつの生命が宇宙に還る有り様----。
本書は、写真を通して、内奥にある骨肉を光と交わらせ、生命の謎、存在の闇と切り結ぶ叙事詩でもある。
「われわれはどこから来て、どこへ行くのか」。根源的な問いが、骨肉の壮麗なる佇まいの前に横たわる。
― 出版社説明文より
- 判型
- 297 × 220 mm
- 頁数
- 120頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2019
- ISBN
- 978-4-86541-094-5